今回の工藤支店公演、チラシにも当パンにも一切クレジットされていない陰の主役が二人います。一日目が牧野慶一さん。二日目が宮越昭司さん。
山村崇子演じる鈴木あみが登場する上演開始まで、つまり、鈴木が纏に入ってくるまでの間、いかにその席を空けておくか。今回のシステムだと、指定席とはいえお客様が座ってしまう可能性がありますし、また、椅子の位置をずらしてしまう可能性もあります。開場から開演までのお客様入場時間の30分、纏のママ役の工藤静香、あきらのマスター役の田中耕一、あきらの客役の工藤由佳子は板付ですでに演技を始めていますから、では、その空席も誰かが座っていればいい訳で……贅沢にも、開演前までの間だけお客さん役を演じて頂く俳優を二人お願いしたのです。牧野さん、宮さん、お二人とも、即興で、実にいい味を出して、芝居が始まるまでの会場をあっためてくださいました。
それにしても、芝居が始まる直前に舞台からいなくなれとお願いするなんて、本当に、ひどい演出家ですね。ま、こんな試みも、『A面・B面』ならではの贅沢な隠し味ということで。